11/16 【トークセッション 】世界遺産「佐渡島の金山」と三国街道
- 2025年11月20日
- 読了時間: 5分
更新日:2025年11月27日
~金の道でつながる地域の輪~
[スピーカー]
渡辺竜五・佐渡市長
宮崎悦男・小千谷市長
[プレゼンター]
宇佐美亮・佐渡市世界遺産課 課長補佐
白井雅明・小千谷市にぎわい交流課主査(学芸員)
進行 安達桂祐・小千谷市にぎわい交流課係長


江戸時代、佐渡から江戸まで金銀を運んだ「金の道」の交流イベントが11月16日、小千谷市のひと・まち・文化共創拠点「ホントカ。」で行われました。世界遺産「佐渡島(さど)の金山」と三国街道をテーマにしたトークセッションのほか、小判作りや「金塊」のつかみ取り体験など多彩な催しが行われ、多くの人でにぎわいました。
街道がつなげた人と物の交流
世界遺産「佐渡島の金山」は相川金銀山、鶴子銀山、西三川砂金山の三つの鉱山で構成されています。平安時代の終わりには「佐渡で金が採取された」との記録があり、古くから金を産出する島として知られています。
佐渡は江戸幕府の天領であり、鉱山の経営を担っていました。機械化されたヨーロッパの鉱山技術が鎖国で入ってこなかったため、佐渡では高度な手工業による金生産技術が江戸時代を通して継続し、それが世界遺産として評価されました。
江戸時代、相川だけで5万人が住んでいました。島内だけでは物資をまかなえず、島外から物を運んでこなければいけませんでした。また、佐渡奉行所の奉行や役人も任期があり、江戸から赴任してきます。金や小判、物資、人を江戸まで運ぶ道が必要でした。
佐渡と江戸を結ぶ当時のルートは北国街道、三国街道、会津街道がありました。このうち金を運んだのは主に北国街道です。三国街道は奉行や役人が佐渡へ赴任してくる際に使われましたが、北国街道が災害で道が崩れた際、金を運んだという記録もあります。
佐渡では、鉱山と関わりのある無名異焼(むみょういやき)などの産業も生まれました。そのような産業を含め、街道が地域をつなぎ、人と物が交流しました。

人の流れが文化を生む
佐渡と小千谷には、三つの「関係」があります。一つ目は「ジオパーク」。どちらもかつては海の中にあり、海の底から一緒に上がってきた仲間です。
二つ目は「産業の隆盛」。いずれも江戸幕府の天領であり、佐渡の金銀山、小千谷の小千谷縮は、幕府に大切にされた産業です。「小千谷縮・越後上布」はユネスコの無形文化遺産に登録されており、世界遺産の「佐渡島の金山」ともども、世界が認めた遺産という点で一致します。
そして、三つ目は「文化」。他地域の人との交流によって生まれた文化がともに残っています。佐渡では能や人形芝居、小千谷では巫女爺人形操り、木喰観音(もくじきかんのん)などです。人の流れで一番大事なのは道。飛行機などがない時代、整備された道がなければ人の流れは生まれません。
佐渡と江戸を結ぶ道のうち、最短ルートは三国街道ですが、ものすごく険しいです。人が通るときは三国街道を使う一方、荷物を運ぶときは北国街道を利用しました。現在、市民の皆さんと一緒に三国街道の古道を整備しています。整備することで誰もが古道を楽しむことができるようになり、歴史を探るコンテンツにもなります。

情報発信へ両市が連携
金銀山や錦鯉など江戸時代の素晴らしい日本の文化が新潟県には凝縮されています。「佐渡島の金山」でいえば、採掘によって多く人が佐渡に来たことで文化が生まれました。県内唯一の五重塔(妙宣寺)や島内に約120の流派がある鬼太鼓のほか、一般市民による薪能が年間十何カ所も見られる地域は他にはありません。
そのような文化を通し、佐渡に何回も来てもらい楽しんでほしいです。インバウンドや単価の高い観光客ということではなく、バックパッカーなどリュックサックを背負い、佐渡で1週間、小千谷で1週間滞在するような観光客を増やしていきたいです。そんな仕組み作りのキーワードが、実は世界遺産なのです。
よく新潟県は広すぎるといわれますが、帯広や札幌など観光地が離れている北海道をイメージしてください。新幹線や電車、ジェットフォイルを使えば佐渡、小千谷は距離的に近く、新潟県を訪れる人にとって遠くはありません。
江戸の雰囲気を残すこと、そして「本物」を掛け合わしていくことはとても大事です。ただ、新潟県は情報発信が弱い。小千谷と一緒にとがった企画を発信していきたいと思っています。

宝を掛け合わせイノベーション
新潟県が世界に誇るコンテンツといえば、「佐渡島の金山」と「小千谷の錦鯉」です。雪や食べ物は他のところにもありますが、金山と錦鯉はここにしかない。この2大コンテンツを掛け合わせることで、佐渡と小千谷だけでなく、新潟県、さらには日本の価値を高めていこうと考えています。
3年前、錦鯉が国魚に認定されました。「世界錦鯉サミット」を開催しましたが来秋、新潟市で「世界サミット」を開こうと、関係自治体に働きかけています。「クールジャパンエキスポ」事業として、日本が誇るコンテンツを世界に発信していく。海外からも人が来る、大きな事業となります。
また、2028年、東京駅日本橋口近くに「東京トーチタワー」が完成します。敷地には小千谷の錦鯉の池がありますが、すぐ脇には、佐渡の金鉱石が展示されています。ビルを訪れる世界中の人に、金山と錦鯉を掛け合わせ、文化を伝えていきたいです。そして三国街道を通り佐渡へ行くような、文化と人種、経済の交流ができればと思っています。
歴史をさらに深掘りし、宝を磨いていく。異業種の掛け合わせは、イノベーション(技術革新)といえます。

【イベント】
会場では、アクリル製の箱に入った約7.5㌔の金塊レプリカを小さな穴からつかみ取る「金塊づかみ体験」や、粘土を小判型に成形し、スタンプを押す「小判づくり体験」、佐渡の物産販売などが行われ盛況でした。
また、佐渡芸能集団 越佐による鬼太鼓も披露され、来場者を沸かせました。


